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「私は、橘果歩になりたいんです。どんな事があっても、私達の子は大切に育てます」
「ありがとう」
涼太朗は、そっと果歩を抱きしめる。
両親が亡くなって、自分の病気が見つかり、独り寂しく最期を迎えると覚悟をしていたのに……。
こんな、幸せなことがあるなんて……。
とにかく今は病気と立ち向かい、果歩と生まれてくるわが子との時間を少しでも延ばしたい。
日高夫妻と高木にも果歩から連絡を入れた。案の定、すぐに病院に駆けつけてきた。
「涼ちゃん、パパになるのね!おめでとう!頑張って病気に立ち向かわないとね。果歩ちゃん、本当にありがとう」
「涼太朗。父親になるお前がベッドの上にいたんでは格好がつかないぞ。帰りを待ってるからな」
「はい!」
病気は決してよくはなっていないが、今までと目つきが違う。父親になる覚悟が出来たのだろう。
「先生~本当に良かったです」
高木は泣き続ける。
今まで涼太朗の前では涙を我慢していたのだろう。今日は、嬉し涙だ。
「高木さん、ありがとう。果歩と籍を入れようと思っているんだ。今後の手続きもあるし、いつもの弁護士さんを一度連れて来てもらえませんか?」
「もちろんです!」
「きゃ~涼ちゃん、果歩ちゃんと夫婦になるのね。本当に嬉しいわ。子育ては任せなさい!」
「涼太朗。良かったな」
ふたりは涼太朗が退院したタイミングで入籍をした。
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