5年後

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 お茶碗を受け取った時、涙が止まらなかった。作品を作っている時は、きっと、自分と果歩の分だったのだろう。今となっては、果歩と朔太朗の家宝だ。  それからは、もちろん働かなくても暮らせる充分以上の遺産があったが手をつけず、果歩は自分の貯金で朔太朗が一歳までは働かず子育てをして過ごした。涼太朗の遺してくれた物は、将来朔太朗のにために使うと決めている。  朔太朗が一歳になったとき、助産師の資格の試験を受けて見事合格。  看護師の仕事に復帰しようと尚子さんに相談した。すると尚子さんから涼太朗が入院していた病院は車で通えるし、仕事に行っている間はぜひ私が朔ちゃんの面倒を見たいと言われたのだ。  日高先生が病院側に話をしてくれすんなり決まった。  日高夫妻もお歳だが、まだまだ現役で診療所を開けていて、朔太朗をお願いしても安心だ。
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