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「はい」 と平川は返事をして、絵をしまい立ち上がる。 「平川君は、剣術を誰に習ったんだ?」 と歩きながら土方が聞くと、 「父です。  でもほとんど我流です」 と平川は答えた。 「そうか、もしよかったらうちの隊に入らないか?」 と土方が聞くと、 「申し訳ありませんが、僕は絵の方が好きなんです」 とあっさり断られた。 屯所に着き、出迎えた隊士に、 「彼を俺の部屋に案内してくれ」 と土方は言ってから、 「平川君、部屋で待っていてくれ」 と言うと、 「はい」 と平川は返事をして、隊士とともに歩いていった。 「断られましたね」 と斉藤が、平川の後ろ姿を見ながら言うと、 「残念だ」 と土方は言った。
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