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「そうか、実に惜しい」
と近藤は、とても悔しそうな顔をした。
「申し訳ありません」
と平川が頭を下げると、
「いや」
と近藤は言い、
「いつまで京にいるの?」
と沖田が聞くと、
「あと2、3日です」
と平川は答え、
「そっかー」
と沖田は淋しそうな顔をした。
江戸に戻る前日の夜は、近藤達と別れの宴を開いた。
数日しかいなかったが、隊士達も別れを惜しんだ。
平川が帰る際、
「平川君、ちょっといいかい?」
と土方が声をかけると、
「はい」
と平川は返事をして、土方の方を見る。
「一回立ち合ってもいいかい?」
と土方が聞くと、
「はい」
と平川が返事したので、2人で道場に向かう。
道場の中は、月明かりで多少明るかったが、
「火を灯すかい?」
と土方は、壁にかかっている竹刀を取りながら聞くと、
「このままでも明るいですよ」
と平川は、土方から竹刀を受け取りながら答えた。
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