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「土方さんと斉藤さんですね」
鴨川の土手にあぐらをかいて座っている青年は、後ろを振り返らず、じっと鴨川の流れを見ながら言った。
「さすがだね、平川君」
と土方が言うと、平川はすくっと立ち上がって土方達の方に振り返り、
「お久しぶりです。
土方さん、斉藤さん」
と言って、深く頭を下げた。
「ちょうど2年ぶりかな」
と土方は言いながら、頭を上げた平川の肩に手を置き、
「おう」
と斉藤は、右手を軽く上げた。
「平川君から届いた文から計算して、今日あたり京に入るだろうと思って待ってたよ」
と土方が言うと、
「すごいなー、土方さん」
と平川は笑顔で言った。
「いつまでこっちにいるんだ?」
と斉藤が聞くと、
「2日いるつもりです」
と平川が答えると、
「そうか。
明日の夜飯行こう」
といつもは無口な斉藤だが、平川に対してはよく話す。
「分かりました。
斉藤さんのおごりですよね?」
と平川が、にこにこして聞くと、
「お前は」
と斉藤は、笑いながら平川の右手を軽く叩き、
「それでは、土方さん」
と土方に頭を下げて歩いていった。
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