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Prologue
ゆらりゆらり、揺れて昇って消えゆく煙は空に散る。
その棒一本で快楽に浸り、肺を侵して息をするんだ。
付いたリップが光を反射して、また自分をあざ笑った。
息苦しい世の中から背を向けるように。
息苦しい世の中の縛りから抜けるように。
息苦しい、この自分の性格を踏みにじるように。
私が息をするために。
「こーんなところで女の子がたばこ吸ってていーんですかー?」
ふと聞こえてきた言葉に肝が冷え、とっさに振り返った時、『あ、しくじった』と思った。
顔を自分から見せてしまったら駄目じゃないの。
けれど、時すでに遅し。
コンビニのある通りの路地裏で19時、人気なんてなかったはずなのに、私はあっさりとその人に見つかっていた。
「なーにしてるの、かいちょ?」
手首をやんわりと掴まれ、その指先で挟まれているたばこ。
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