Prologue

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17歳の私がしてはいけないことなんて、解っているし。 ましてや……。 「ねぇ会長、これ学校にチクっていい?」 「やめてっ」 『詰んだ』というやつだ、これは。 私服だし、大人っぽいとよく言われるし、母のカバンの中から一本くすねてくるくらい……そうして、そうしてまた、それを何度も繰り返して。 麻痺していたんだ、見つからないじゃんかって。 私のことなんて見る人、いないじゃないかって。 「どうしようね、会長の弱み知っちゃった」 「……なんでこんなところにいるの」 「生徒会室に忘れもんがあったから、会長に届けてあげようと思って」 ほら、と差し出されたのは、紙袋。 中身は、放課後暑くて脱いでいたカーディガンだ。 確かに、それは私が生徒会室に忘れていったもの。 けれど別に、わざわざ届けに来るようなものでも無いと思うのに。
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