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「うざ」
「いつもクールな会長の焦った顔が見れて、俺は腹の底から楽しいよ」
「副会長のくせに性格悪すぎ」
けれど私も、コイツの性格の悪さを知っている。
今コイツは、学校で私の右腕なのだから。
会長の私、副会長のこの男。
私たちはいつも、生徒会室で顔を合わせるのだから、逃げ出したって逃げ道なんて無い。
「さて」
完全な諦めモードに入った私は、今度はこいつがどんな難題を吹っかけて脅してくるもんなのかと、睨みつけてその言葉を待つ。
どうせあと半年もなく生徒会は解散して次へ引き継ぐことになるんだから。
とりあえず今は、話を聞いて、無理そうなら妥協案を──。
「じゃあ会長、キスしよっか」
「は?」
腹の底からそんな声が出たのは。
かつて、私がこの男を好いていた頃が、一瞬にして蘇ってきたからだとは思いたくない。
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