魔王の卵

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 そして月日が流れた。  ある年、突然魔王が降臨した。  魔王と名乗った青年は、地上の侵略を始めた。  空は黒く覆われ、海は荒れ狂い、乾いた空気が喉に張り付く。 「さあ、みんな、準備はできているかな」  男性教諭の声が蝋燭でぼんやりと照らされたクラスに響く。  子どもたちの目の前には卵。  昨年度までの卵の授業とは明らかに違う。  生徒たちは皆、一様に暗い表情をしている。  順々に発表していく子どもたち。  すべての子どもたちが「勇者の卵」を飲み込んでいく。  それは勝手な大人たちの希望であった。  大人たちはその数多の卵たちに、魔王討伐を願うのだが――。
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