パーティ会場にて

1/2
前へ
/2ページ
次へ
 参加者がどんどん増えてくるパーティ会場。  皆、時間まで思い思いに過ごしている。  談笑する者、衣装を替える者、お直しする者…時々会場を去る者もいる。  何人か見知った者もいる。  向こうは俺のことなんて知らないだろうが…。  参加するたび滅茶苦茶緊張している俺。  今回もこっそり参加する。 「やっほー!今回もまた会えたね!」  俺の目の前に鈴木さんが元気いっぱいで登場する。 「鈴木さん、今回も明るいねぇ…」と俺。 「志村さんは今回は暗いねぇ。……えー、そんな事があったんだ」  鈴木さんは俺の心情を読み取り、悲しげな顔をする。 「私の明るさ、分けてあげよう!さぁ私の心情を読むのだ!抱腹絶倒間違いなし!」 「……今は気持ちだけ受け取っておくよ」  そっけない俺の態度に鈴木さんは不服そうだ。  いいんだ、今回はこれで。  こんな結末になってしまったが、俺は納得出来ているのだから。 「そういえば、田島さんは?いつもそろそろくる頃じゃない?」 「「お待たせー」」  噂をすればなんとやら、の田島さんがやってきた。 「うぉっ!今回は2人一緒に来たんだ!」 「後で3人目が来るよー」 「凄いなぁ。今までの最高で、何人の田島さんが来た事あったっけ」 「うーん、6人かな。その時超調子良くてさ」  それで6人とも全く違うキャラだから田島さんは凄い。   「あれ、あっちにいるの、竹野さんじゃない?」  田島が気付く。  竹野さんは知り合いが多く、向こうの方で和気藹々としていた。 「本当だねぇ〜。結構早くに来たんだねぇ〜。開催と同時に来たのかなぁ…。楽しみにしていたんだねぇ〜」  田島はのほほーんとした表情で話す。 「逆にいつも川口さんは最後の方だよね。準備にこれでもかってぐらい時間かけるの。凄いよね、私も見習いたいけどなかなかなね〜」  鈴木さんはいつも明るく楽しい。  彼女の事を嫌いな者はいないんじゃないかと思う。  入念な準備に関しては、俺も見習う必要があるよな。  ここに参加する事を決めると、つい慌ててしまう。  そしていくつか忘れ物をしている事に後から気がつくのだが…。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加