見えない壁

11/12
前へ
/12ページ
次へ
十年を無駄にした。 その事実が後から迫ってくるようで劣等感を、当たり前に感じる日々を送っている。 今の自分に失われた者たちの人生の記憶がフラッシュバックし、その葛藤がいつも自分が損をしているのに、注意されるような、妄想を繰り返している。 生きるのが嫌になる、生きていたくなくても、死ぬ選択肢を作ると、身にならないので こころだけでも苦しがる。そして、その状態が不安定なのに落ち着くようになってしまった。 苦しいが、それが私の人権侵害された後なのだ。もちろん生まれ変わった自分はそう思わない。しかし体は覚えている。 正直、些細な事である。 そうか、みんなこんなつまらない事で腹を立てて、もがいているのか!っと言うように、自身が会ってきた人間の想いを妄想する。 劣等感に対応して それは、頑張っている人には気付けない、嫌味だった。 何も感じなくなった自分にとってそれを理解したのは、大きな成果だった。 自身が失われた人格は、それとは反対で広い世界を見て美しいと思っていた。 その嫌味はその人格にしてみればちっぽけで。 「まっ、つべこべ言わずに、自然を見ろ綺麗だろ!」っと、心意気で汚い空気の夕日の光が歪む様子をおもしろく見ていた。 投げ出したわけではない。 現実逃避でもない。 空の色は正直どうでもいい、この広い世界の中に、自分はいる。そして、それ自体、ちっぽけでなく、果てしなく続いてきた、時間のひとかけらを存分に生きれる。 どんな人でも、どんな状態でもその中のちっぽけな自分を捨て、忘れていたとしても、 その自分を思い出す。 これは奇跡であり、当たり前でありつつ、側にいる、大きなサイクルの中に我々がいるからだ。 空には自分の記憶を置いておく、アイテムボックスなのだ、だから忘れない。 自分が傷つけて、傷つけられて、 嫌になった記憶たちよ。 空の雲の如く、クラウドとして、時々引っ張 りだして、干渉に浸る。 そのクラウドの容量は、有限だから、文字にしても、残せない。 それは自分のものだから。 だからこそ、大切にしようと思う。 自分より、自分宛の手紙のようにトラウマに付き合い寄り添って、歪んだ空に、哀愁を感じる。 それはどんな事でも、時間が無惨にも、やさしくも、解決するのだという哀愁だった。 死にたい人はいてもいい、それを支えてくれる人がいないなら、わたしは空の一部になって、干渉に浸る。 なぜなら、そこには自分が広がっているから。 他人たちをつぶさにみれば、そのクラウドが豊かになる。 十年はその気づきに使った時間だったんだな。 そう悟っただけなのだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加