見えない壁

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見えない壁。 それは生まれ変わった自分の障がいであった。 だが、 思いがけないリターンがあった。 甚だ信じてもらえるかどうかわからない能力だったので、問い詰めることをしなかったが故にまるで中ニ病の症状だった。 それは... 自分の記憶を自発的にさらに、具体的にどのような部分でも消せる、あるいは一時的に忘れる能力だった。 しかし、それがどういう事か検討できないと思うので、あらかじめ端的に言っておこう。 おそらくサバン症候群の一例であったのだ。 特に忘れる事が思い出せる時間を設定できる所がポイントだ。 全てのデジャヴがその行為を無意識のうちにしている事で起きると説明できる。 逆手にとると自発呼吸と無意識呼吸の差があるようなものである。 自分でこうなると思ってなる 有言実行の極地。 自発的な呼吸なので、忘れる行為が大変になり、インプットが慎重になる。 まさに受け口の少ない見えない壁な感じなのでその少ない特徴が、自分の気持ちを表現できない、変人に見えて入院したのが唯一のキッカケだった。 だが、 少なからず言えるのは、忘れた事を思い出しているという、矛盾した結果をリボーンという再構築に成功したので思い出したという努力にもあった事である。 それを覚えている自分はまさに変態なんです。 悪い意味のそれのへんたいではなく... 自分を忘れる事でカスタマイズに成功している変態であるので、自己完結している変態です。 他人には迷惑かけない変態っていうのが、いるはずないので、入院したようなものです。 何言ってるかわからなくなるのですが、要するに 「ボクは悪いへんたいじゃないよ。」 と言っても、信じてもらえる要素0だった。 要するに少ない情報で判断するしか、方法がなかったという事だが、今風に考えると18が成人でなかったのも理由の一つでもあるなと 運命さえ感じてしまう、 結局遠回りしてその能力に目覚めて、はじめて理解した。 自分だけで決められる運命などない。 ようは自分を選択する手段しか変わる方法がはじめからなかったのだ。 あの頃の自分よ、おまえはもうオレじゃなく、あの頃の自分でもない、 もう手放してしまったんだ。 さようなら、そしてよろしく、これからの見えない壁よ。 そうして階段を上がれた自分には前へ進んだ後の仕切りに見えない壁が背を叩く... その仕切りはなくなるのだ、 永遠に。
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