通り過ぎる

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通り過ぎる

その時は突然訪れた。 100分の1秒の間に、轟音と共に銀のロケットが駆け抜けたかと思えば、ずっしりとしたその身を、さも当たり前のように横たえ、それっきり動かなくなったのだ。 引っ張る力に強靭な壁を突き破り、その内側に侵入されるなぞ、前代未聞だった。 当然だが、周りは火がついたような騒ぎとなった。 「何があったのか全然分からなかった。音が止んだと思ったらロケットが目の前にあってびっくりしちゃって」 「まるで衝撃波でロケットの周りにいるものが吹っ飛んだような感じ。巻き込まれた連中は助かったのかどうか……」 などと目撃者は証言しており、横たわるロケットをどうするか、そればかりが世論を占めた。しかも〈侵入者ども〉もロケットが突っ込んで来たことをきっかけに、その数を増やして国民に襲いかかるため、特殊部隊が出動する事態となった。 有識者からも、 「ロケットが入ってきたせいで多くの犠牲者が出た。しかもロケットの周囲の損傷も激しい。さらには〈侵入者ども〉も来ており、国民の安全も脅かされている。一刻も早い復旧が必要だ」 という声が相次ぎ、ロケットと〈侵入者ども〉の排除が急務とされ、対策本部が作られることになった。
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