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突き破る
あの大惨事から1ヶ月。国民があの事件の記憶を少し希釈していたその時期に、それは起こった。
壁がぐにゃりと歪んだのである。
慌てて調査部隊と特殊部隊が派遣された。その結果、どうやらロケットを覆っていた壁の向こうが空になったことが明らかになったのだ。
特殊部隊の出番もなく、国民は胸を撫で下ろし、いつも通りの生活を始めた。
しかしその翌日になると、壁が執拗に蠢き、壁が伸びては縮むを繰り返すようになる。避難命令が出てしまう事態となり、遠巻きに国民達はその様子を眺めていたが、今度は金のロケットが、まだ薄い壁を突き破って侵入してきた。
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