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「よし、今日はこれにしよう」
色とりどりのピアスを前に、小夜子は青いとんぼ玉がついた、一番お気に入りのピアスを手に取ると、ポストの先端に軟膏を少しだけつけて、鏡を見ながらまっすぐに慎重にピアスホールへと差し込む。すんなり入ったことに安堵した彼女は、キャッチをしっかりと嵌めて一人頷いた。
そしてもう片方の耳のピアスホールにも、同じようにポストの先端に軟膏を少しだけつけて、やはり慎重に差し込んだ。手が少しだけ震えていたものの、2週間前に差し込む時に間違えて傷を作るようなヘマはしなかったらしい。
「やったあ! 一発でピアス入ったなんて! 今日は絶対いいことあるかも!」
1人でガッツポーズを決め込む小夜子は、ピアスホール完成までの痛い道のりを思い出す。
病院で医師にファーストピアスで耳に穴を開けてもらう時の、バネが立てる大きな音に驚き、その後耳たぶに鋭い痛みが走ったことは、2ヶ月経った今でも鮮明に思い出せる。
耳に穴を開けてから1週間の間は、まだピアスホールが安定せず、タオルにヘッドを引っ掛けて痛い思いをしたこともあった。
そしてその時期が過ぎても、何故かピアスホールが化膿してしまい、病院を受診したこともある。ピアスホールが化膿した左耳を触るよりも、医師によって膿を取り除かれた時の方がよほど痛かった気もしないでもない。
そしてファーストピアスをつけて1ヶ月後に、セカンドピアスへと付け替えることになった。ファーストピアスが地味だったのが嫌だったので、好きなデザインのセカンドピアスに付け替えるのは純粋に嬉しかったのだ。
そしてセカンドピアスに替えて1ヶ月後、ピアスホールの洗浄のために、ピアスを1度外したのだが、再びセカンドピアスをつけようとした時に悲劇が起きた。
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