18.星の声

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 トガミがその瞳にミーアを映す。ミーアがそっと傍に近寄ると、彼は辛そうに目を伏せた。   「ミーア、様……数々の非道な仕打ち、心からお詫びします。僕は、きっと……僕と同じ辺境の地に生まれながらも、決して理不尽に屈することのないあなたを、心のどこかでは、妬ましく思っていたんでしょうねえ……」 「……トガミさん」 「リオン殿下のこと、どうかよろしく頼みますよ……あなたになら、任せられます」  焦点の合わない目をして途切れ途切れにそう言ったトガミを、ミーアはただ黙って見つめることしかできなかった。  トガミはそんなミーアを見て小さく頷くと、最期の力を振り絞るかのようにゆっくりと首を動かした。そして今度は、リオンに向かって掠れた声で呟く。 「自分の命よりも、大切にしたいものがあるっていうのも……悪くは、ないでしょう?」 「え……」 「リオン、殿下……そのお気持ちを、どうか、忘れないでくださいよ」    懸命に言葉を紡いだトガミに、リオンは無言で頷いた。  その姿を見たトガミはほっとしたように表情を緩め、ふと息をつく。そして、穏やかに微笑んでから震える唇を開いた。   「あちらの世界で、願っています。……この国に生きる皆に、光が差すように、と……」  それだけを言い残し、トガミの目はすっと閉じられる。そして、もう二度と開くことはなかった。  今にも消え入りそうなか細い声ながらも、彼の言葉は今まで聞いたどんなものよりも重く力強いものだった。
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