科学探偵アイザック

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 車から数人の大人が出てくると、機材を運び出し、コンピュータのキーボードをカチャカチャと叩きながら画面を眺め出した。 「おや、おかしいな。何も映らない」 「え?」  ダーウィンと一緒に画面を覗き込むと、そこには真っ黒な画面があるだけだった。 「少し穴でも開けてみようか」  一人の大人がドリル工具を持ち出して、玉子に向けた。うるさいドリル音が響いたかと思うと、すぐにギリギリと鈍い音がして、ドリルが止まってしまった。 「うわあ、ドリルが曲がってしまいました」 「これは本格的に調べたほうがよさそうだな……」  エジソン博士は携帯電話を取り出すと、何やら話し込んでいた。  数人が玉子の周りで、色々なセンサーの棒を向けながら調べていると、バラバラと音がして、上を見上げるとヘリコプターがこちらに向かってきていた。  僕たちのすぐ近くに着陸すると、中からメガネをかけた女の人が降りてきた。 「飯田博士、お待たせしました。これがその不思議な物体ですね……」 「ええ、桐井(きりい)長官のご意見を伺いたいと思って」 「あの……この人、誰ですか?」  段々大変なことになってきたので、僕はエジソン博士に聞いてみることにした。 「ああ、この人は宇宙科学庁の長官の桐井(きりい)真里(まり)さんだ。私も見たことのない物体なので、長官の意見を聞いてみようと思って呼んだんだ。桐井長官、こちらは第一発見者の相澤君です」 「エジソン博士……科学探偵アイザックです」  僕はエジソン博士をつんつんと突いた。 「くす、エジソン博士? 科学探偵アイザック? どういうことかしら」 「ああ、この子達のあだ名みたいです」 「そう、それなら私は……キュリー夫人とでも呼んでもらおうかしら」 「はじめまして、キュリー夫人。僕はアイザック、こちらは助手のダーウィン」 「ちょっと、大人の前でそれやめない?」  ダーウィンはしかめっ(つら)をしたけど、僕たちは今大発見をした科学者だ、恥ずかしがることはない。
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