科学探偵アイザック

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 僕はさっそく洋服に着替えると、玉子のある広場へと向かった。  広場にはたくさんの人だかりがあって、その先に大きくなった玉子がそびえていた。 「あ、アイザック!」  声のほうを向くと、ダーウィンが駆け寄ってきていた。 「なんかすごいことになってきたね」 「うん、でもこっから先に行くことができないね」 「ちょっと待って、パパに電話してみる」  電話でダーウィンはうん、うんと頷きながら話していた。 「今、パパが迎えに来てくれるって」  ダーウィンのお父さんと数人のサングラスをかけた人が僕たちのところに歩いてきた。 「やあ、アイザックくん。あの玉子はもう隠すことができないくらい大きくなってしまった。 ……ここで話すのもあれだから、仮設テントに行こうか」  僕たちは人だかりを抜けながら、玉子の横に設置された大きなテント小屋へと向かった。  中に入ると、たくさんの兵隊やら、技術者やら、科学者らしき人たちが、話をしているところが見えた。 「あら、アイザックくん、来たのね」  キュリー夫人が迎えてくれた。 「こんにちは、キュリー夫人。僕はここに来てよかったんですか?」 「あなたは重要参考人……じゃなくて第一発見者だから、色々聞きたいこともあるしね。みんなに紹介するわ。 ——みんな、聞いて。この少年はアイザック君! 聞きたいことがあれば、彼から聴取するように」  一斉に大人たちの視線が僕に向けられた。有名人になったみたいで、少しいい気分になった。 「科学探偵アイザックです。よろしく」  ペコリと挨拶すると、なぜかどっと笑いがテントの中に広がった。
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