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「あのキュリー夫人、これどこまで大きくなるんでしょうね」
「まったく予測がつかないわ。このままのペースで成長すると、あっという間にこの国全土を覆ってしまう可能性がある」
「そうなったら、どうするんでしょう?」
「今国際会議で議論中よ。その答えを待つしかないわね」
「何かわかったことはないのですか?」
「そうね、不思議なことに、私たちがどうやっても中に入ることができないのに、動物たちは何もないかのようにあの玉子をすり抜けていくの」
「それじゃあ、動物にカメラをつけてみるというのは?」
「やってみたけど、何も映ってないの。どういうことなのかしら」
「僕にできることがあれば、何でも協力します」
「そうね、関係者から色々聞かれるかもしれないけど、協力して……ちょっと待って!」
キュリー夫人は耳につけたイヤホンに集中すると、驚いた表情に変わって、テントの中のみんなに顔を向けた。
「緊急退避! 玉子がまた拡大を始めた。すぐにここを退去して、民衆を安全な場所に移動させるように!」
地鳴りがして、地面が揺れ出した。
「ごめんなさい、アイザック君。君も家にすぐ戻って、待機してちょうだい!」
僕は見物客が逃げまどう中、ガードマンに連れられて、すぐに自宅に連れ戻されてしまった。
家に戻ると、家族はテレビを見入っていた。
「ただいまあ」
「どこ行ってたの、今大変なことになっているのよ」
「あ、玉子のこと?」
「そう、川の近くの広場に現れた大きな青玉子!」
発見したの僕なんだ、と言っても信じてくれなそうなので、やめておいた。
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