科学探偵アイザック

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 僕は科学探偵アイザック。  今日も不思議な自然現象を探して、川の土手を探索中。  おや、さっそくすごい発見をした。  川沿いの畑の地面からふわふわと湯気が立っている!  写真を撮って、メモメモっと…… 「相澤(あいざわ)―、またやってるの? 暇だねえ」  僕がしゃがんで写真を撮っていると、後ろから声がかかった。振り向くと、そこに同じクラスの飯田の太いももが見えた。 「相澤言うな、僕はアイザック、科学探偵だ」  気分を盛り上げるために100円ショップで買った、伊達メガネをクイっと上げてみる。 「その痛い設定もうやめなよ、聞いてるほうが恥ずかしい」 「うるさい、僕は夏休みの自由研究の宿題に燃えているんだ」  夏休みに入って、理科の宿題、自由研究で何をやろうか迷ったけど、子供新聞が意外と面白そうだったので、自分で『自然の不思議発見新聞』を作ってみることにした。   「別にこんな田舎で地霧(じぎり)なんて珍しくもないじゃん……」 「地霧って言うんだ」 「これは太陽の熱で温められた地中の水分が気体になって、空気中で冷やされることで、凝縮して小さな水滴ができて目に見えるようになるものよ」 「温めて、冷えて、水滴……よくわかんね。詳しいんだな」 「うん、パパがそういうの好きだから」 「それはちょうど良かった、助手が欲しかったところだったんだ。君を助手に任命しよう、ダーウィン」 「誰がダーウィンよ?」 「飯田だから、逆さにしてダーウィン」 「……だけはいつも冴えているよね」 「そんな頭の切れる天才は(ダレ)ジャ?」 「……」 「ツボッた?」 「ううん、ボツった」 「……ダーウィンは宿題、何すんの?」 「私はパパに手伝ってもらって、宇宙基地の未来でも書こうかと思ってるけど」 「あー、そういえば宇宙開発研究所とかで働いているんだよね、飯田……ダーウィンのパパ」 「今や月面基地がたくさんある時代だからねー、私たちが大人になる頃には普通に観光旅行とかできるかもよ」 「ふーん、でもさ、それより地球のほうがやばくね? 異常気象とか、地震とかすごいじゃん?」 「あー、それでこんなことやってるの?」 「そう、一体何が原因でこんなことになっているのかを科学新聞にできたらいいなと思って」 「それは難しい問題だなー」 「でしょ? だから手伝ってよ」 「なんか言いくるめられてる気もするけど、少しだけなら」
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