いつかその日まで

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「ん…あ!ていうか、時間は大丈夫なの?」 はっ、と思いだしたように私から離れて、時計を見た彼。 「うわぁぁぁやばい!!!! もう行かなきゃ!」 慌てたようにリュックを背負い、たくさんの鞄を手にかけていった。 「よしっ、じゃあまたね!」 「うん、またね」 私がそう言うと、彼ははじけたような笑顔を見せた。 「またね、って言ってくれた!」 あ…気づかれてたんだ、さっきわざと「またね」って言わずに「バイバイ」って言ったこと。 バレていたことが少し恥ずかしい。彼は、私の心をすべて見透かしているのだろうか。 「じゃあ、いってきます!」 「いってらっしゃい」 「好きだよ」 「うん、私も好きだよ」 彼は、今度こそゲートをくぐって行った。
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