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そいつと初めて会った時、酷くつまらないやつだと思った。
「はじめまして」
ニコニコと効果音がつきそうな笑顔は薄っぺらで、握手を求める手も表面上だけ。
ああ、つまらない。
こいつもか。
折角期待したのに。
俺はとてもガッカリして、フン、と差し出された手を無視してやった。
ギャンギャンと俺を咎める兄の声が聞こえるが知ったことでは無い。
こいつがつまらないのが悪いし、俺はこいつに興味が無い。
「しょうがないよ、初対面なんだから」
と知ったような口をきいて兄を宥めるのも面白くなかった。
つまらない、ああ、つまらない。
そんなことより俺は久方ぶりに会った兄と話したいことが沢山あって、兄の横にいるそいつを無視して兄の手を引いて走り出す。
ほらね、追いかけても来やしない
あーあ
折角この俺が期待して待っててやったのに
兄貴の恋人だからってさ
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