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救命救急センターの当直は過酷
『西新宿消防、救急救命士の田中です。急性心筋梗塞疑いの傷病者の受け入れ要請です。
長田優作さん、58歳。高血圧有。本日22時30分頃に胸の痛みを訴え、自宅リビングで倒れ込んでいるのを奥さんが発見。SpO2は99%、顔面蒼白で冷汗あり、表情は苦悶様でうめき声を上げています。血圧は80の40、意識レベルはJCS-100目立った外傷はありません』
午後10時45分、カテーテル室で急性心筋梗塞の患者5人に対し、カテ-テル検査でつまっている血管を見つけつまった血栓の吸引やバルーン(balloon)を膨らませたりする再灌流療法を行っていたら、また救急搬送の要請が入った。
「新井先生、どうなさいますか?」
「受け入れて下さい」
『すぐに搬送します。よろしくお願いします』
救命救急センターでの当番医の日。
立て続けに患者さんが搬送されてくるから、休む暇もない。
「加藤先生、すぐに心電図とエコーを準備。入ってきたら秋元先生、ルート確保と採血をお願いします。凝固生化CBC、それからCK-MBとトロポニンT。あと、ボスミンと挿管の準備をして下さい」
救急隊が到着し、患者が救命救急センター移送された。
「長田さん、わかりますか?……新井先生、反応ありません。」
「呼吸は?」
「頻呼吸ですがクリアです。血圧は……44の13!」
初期研修医の加藤先生が私からの指示を待つ。
「……ニトロールは使えないな。ボスミン用意して!秋元先生、ルート確保早く!あと心電図の用意を。あとリザーバーで酸素投与を。今のうちにベッド移ろう。1,2,3!」
救急用の担架からベッドに移し、処置を行う。
「今採血しています。……ルート確保できました。滴下良好です。」
「ボスミン1/4アンプル投与。その後はルート速度はキープで。心電図は?」
「用意できました」
看護師が心電図の機械を持ってきて、患者の体に取りつける。
「ST上昇、やっぱり心筋梗塞か。エコーを見よう。リニアプローブの設定で。血圧は?」
「80の40までは上昇しました。」
加藤先生が応える。
「エコーでは前壁を中心に壁運動の高度低下。左前下降枝かな。カテーテル室に移動します」
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