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天才外科医は鬼畜な元彼
母親は産婦人科病棟、赤ちゃんはNICUに看護師が連れて行き、手術に立ち合った医師達も解散する。
一刻も早く帰りたく、手術センター内にある女子更衣室で術着を脱ぎ、引き継ぎを行うため、産婦人科医局へ急ぐ。
「理知、久しぶりだな!!」
「えっ、れ、蓮!!」
女子更衣室から出ると、紺青のスクラブに白衣を羽織った元彼、相良蓮が壁にもたれかかり腕組んで立っていた。
医大5年生の春から初期研修医が終わるまで、私は彼と付き合っていた。
「な、……なんで、葛城病院にいるの?」
「本日付けで葛城病院の心臓外科医になったから」
医療用ネームプレートが目に入る。
「えっ、……ぶ、部長!!」
私と同い年の33歳。
心臓外科医になると決めていた蓮は、初期研修終了後、大阪にある国立循環器センターで専攻医をしていた。
国立循環器センターは超超未熟児の新生児手術の成功率が高い病院。
神の手を持つ外科医に俺はなると大阪に行った蓮。
私と違って無駄なキャリアを積んでない彼は心臓外科医としての実績を積み、葛城病院に部長職で採用された。
「もしかして、さっき手術してたの……」
「俺!!理知、俺のメス捌きに見惚れてただろ?」
「……」
専攻医は多忙極まりない。
東京と大阪で離れていたのもあり、蓮と連絡を取り合わなくなり、自然消滅。
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