プロローグ

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プロローグ

 ご存知の方も多いかも知れないが、地球がある太陽系は銀河系の中心ではなく周辺地にある。例えて言うと、太陽系は銀河系の片田舎にあるのだ。だから、太陽系は銀河系の塵のように小さな存在でしかないとまで言う専門家もいるらしい。銀河系において、太陽系は無名に近い存在なのである。  ところが、その「田舎暮らし」には良いこともある。活発に変化する中心部の影響を受けにくいからである。太陽系は中心部の影響を受けることなく、のんびりと、穏やかな状態で存在しているのである。これが、私たちの太陽系の最大の強みである。  銀河の中心近くに位置するプローディト5と呼ばれる惑星は、コバルトブルーに輝く美しい星だ。それを周回する2つの宇宙ステーションがあった。1つは三角錐がつながって円を成していて、もう一つは、中央がくぼんだ円盤がつながって、やはり円を成していた。  夜の時間帯になると一方の宇宙ステーシは暗黒に包まれてしまう。そして、もう一方の宇宙ステーシは昼間の時間帯なので、恒星に照らされて白く美しく輝くのである。  ところが、その日は少し違った。2つの宇宙ステーションがほぼ同時に停止してしまったのである。しばらくすると、プローディト5から銀色の宇宙船が飛び立った。その宇宙船は、スピードを上げながらプローディト5から離れていく。  やがて三角錐をつなげた宇宙ステーションから、3隻の宇宙船が銀色の宇宙船を追うように飛び立った。それは緑色に黄色の筋が入った爬虫類のような模様の宇宙船だった。  銀色の宇宙船が速度を上げて、光速を超えるワープ走行に入ろうとしたとき、3隻の宇宙船に追いつかれてしまった。  3隻緑色の宇宙船は、銀色の宇宙船の周りを取り囲み始めた。と、その瞬間、銀色の宇宙船は3隻に光を放ち、攻撃を仕掛けたのである。2隻の緑色の宇宙船は被弾し、航路から放り出されてしまった。  3隻目は被弾するのをうまく避けた。そのとき、宇宙空間に裂け目が現れて、銀色の宇宙船と緑色の宇宙船の2隻をは吸い込んだのである。  再び裂け目が現れて、2隻の宇宙船は押し出されるように、その中から放り出された。そこは、銀河系の中心から遠く離れた周辺の地であった。  2隻は動きを止めたまま、ふわふわと宇宙を漂い始めた。どれほど長い時間が経っただろう。ついに、2隻は太陽系第3惑星に引き寄せられて、地表に墜落したのだった。
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