星の塔台

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 頭上に広がるのは、満天の星。冬が近づき澄んだ空気は、普段は見えにくい星も鮮やかに浮かび上がらせる。 「あの夜も、こんな星空でしたよ。……貴方を見つけた夜」 「そうなのか。あの時は、空を見る余裕など無かったから」  隣に座り、ヴォルギルは飽きることのない様子で、手描きの星図に書き付けていく作業を見ている。自分が星占をする際にはいつも付いてきて、そうやって過ごしているのだ。  ……彼が来てから、何日が経つのだろう。ひと月くらいは毎日数えていたのだが、それを過ぎてからは、いつしか数えなくなった。  彼がここにいる今を、時間を、一日をただ、大事に想って扱いたくて。 「今日の星は、占ではどういう内容になるんだい」 「え、ええと──押し寄せた波は引き、新たな波がやってくる。新しい時代の始まりを暗示しているようです」 「この結果も、王宮に送るのか」 「それが務めですから。……でもそういえば最近、鳥が占の結果を付けたまま、帰ってくるようになりましたね……何かあったのかしら」
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