星の塔台

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 いつの間にか、少し離れていたはずの互いの距離が隙間をなくし、肩が触れ合っていた。それだけではなく、覗き込むヴォルギルの息遣いが頬に当たるほどになっている。呼吸の温度が移ったかのように、自分の頬も、そして顔全体から体にかけて、じわじわと熱を帯びていくのがわかった。  気を逸らすため、再び顔を上げ、空を見つめる。──と、視線の先で、すうっと小さく星が流れた。その動きと位置にアトレは、息が止まる思いを覚えた。知らず、手が震えてくる。 「どうした?」  アトレの様子に気づき、ヴォルギルは訝しげに、気遣わしげに呼びかけた。すぐには答えが返せない。  呼吸を、懸命の努力で整える。そうしてからやっと、声を絞り出した。 「…………傍にいる者は間もなく、在るべき場所へ帰ると。今、流れた星が告げました。貴方の、ことですね」  良かったです、と必死の思いで言葉にした。 「きっと、何方かが探しに来るんですね。貴方の味方である人が。貴方は、やっと帰れる、ん────」  限界だった。アトレの両目から、堰を切ったように涙が、止めどなく溢れた。顔を覆っても涙は止まらない。心の悲鳴が抑えられない。
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