星の塔台

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 一人の生活にもとっくに慣れ、この、単調だが平穏な日々が、いつまでも続くように思っていた……錯覚していた。  すぐそこまで、運命が迫っているとも知らずに。  身体は疲労の極地にあった。だが足は動かし続けた、惰性で。一歩でも遠くへ離れなければという思いだけで。  逃げ出してきた故郷を想う──家は、家族は、どうなっただろうか。仕えてくれた者たちは。  あちこちで火の手が上がり、乱闘の音が響き、悲鳴が聞こえた、悪夢のような時間。それがほんの昨夜のことだとは。もっともっと遠い日の、幻想のように感じるが、現実だ。  だから、少しでも離れなければ。追ってきているであろう奴らから。  ……だが、さすがにもう、足が動きそうにない。足裏と、傷を負った膝の痛みがひどかった。こんなに長い時間歩いたことはかつてなかった。  今にも倒れそうにふらふらと、よろめく彼の先で、永遠に続くかと思われた木々の波が途切れた。その向こうに見えるのは。  ──塔……?  こんな森の中に、あんな物が?  ああ、そういえば、星を見て占いをするとかいう、変わり者がいたような──
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