星の塔台

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 かけられた声に、驚愕した。腕を外し、首を巡らせて声の主を見る。  まず捉えたのは、青紫の双眸。これまでに会ったどんな人間も持っていなかった、美しい輝きを持つ色の。  続いて、肩口で一つに束ねられた、波打つ薄茶色の長い髪。白い肌、形良い桃色の唇、細い首に小さな肩──どう見ても、自分より歳下の、少女と言っていい年頃の女である。  記憶に間違いがなければ、この塔に居るのは壮年の男性のはずだ。この少女はその娘なのか、あるいは若い妻なのか。  覗き込んでくる少女の顔には、気遣わしげな色が浮かんでいる。心配されているらしい、と思いつくのにしばらくかかった。昨夜の状況を考えれば当然なのであろうが。 「身体、辛くな、いですか。話せ、ますか?」 「…………あ、ああ、たぶん」  我ながらひどい、と感じる掠れ声だったが、出すことはできた。 「良かった。昨夜、熱を出してこの、近くに倒れていらしたん、です。何か、ここ、に御用が?」 「……いや」 「ではどう、してこんな、所に?」
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