夕立が呼んだ恋

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夕立が呼んだ恋

 学校を出るまで、空は晴れていたはずだ。  それなのに、一転にわかにかき曇り、やばいと思う間もなく、大粒の雨が落ちてきた。あっという間に髪も服もずぶ濡れだ。  たまらず私は、一番近くにあった店の軒先に避難した。駆け込んでから気づいたのだけど、先客がいた。お互いに顔を見合わせて、ちょっと目を見張る。  相手は中学で同じクラスの男子だった。小学校から同じだからそこそこ長い間知ってはいるけど、親しくしたことはない。ずっと単なる「顔見知り」の間柄だ。  だからこんな所でいきなり顔を合わせても、話すことなんかない。そう思って戸惑っていると。 「青山さん、雨宿り?」  話しかけられてさらに戸惑った。振り向くと、1メートルくらい離れた間隔で、同じぐらいの高さの視線が、私にまっすぐ向けられている。 「う、うんそう。中埜くんも?」 「急に降ってきて、まいったね」  空を見上げて彼は苦笑いをした。大粒の雨は辺りを白くけぶらせて、店名の書かれたビニールの軒先から絶えず雫を滴らせている。当分、止みそうにはない感じだった。 「ほんとだね。天気予報は曇りだったのに」
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