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勝ったり負けたり、そのたびにきゃあきゃあとはしゃいで表情を変える加奈ちゃんにつられて、私も真剣になってしまう。ふと隣を見ると、中埜くんはさっきと同じ優しい顔つきで、加奈ちゃんを見つめていた。
そこでふと考えが浮かび、尋ねた。
「中埜くんって、妹がいたりする?」
「え? あ、うん。いるよ、今年小2」
なるほど、それでか。妹さんがいるから小さい子に優しいんだ。もちろん、妹がいる人が皆そうというわけではないだろうけど、彼はそういう人なんだ。
きっと、妹さんに対しても優しいんだろうなと思って、会ったことのない子に対してうらやましく思っている自分に気づき、私は内心うろたえる。
うらやましい? どうして?
その時、店の扉の外で、何かが光った。数秒の間を置いて大きな音が響く。
雷だ、と思わず身をすくめた。
「きゃあ!」
加奈ちゃんが叫んで、トランプを放り出して中埜くんにしがみつく。
「ああ、雷怖いのか。大丈夫だよ、遠いから」
中埜くんがなだめるのと同時にまた、ピカッと稲光が輝く。今度はさっきよりも早く、ピシャーン! ガラガラ、という音がした。
「ひいっ」
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