僕と彼女、私と彼の、クリスマスイブの一夜

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 神様を信じたことなどないくせに、そんな思いが心に湧いた。  始まりはどうあれ、目の前にいる彼女の、語った想いは真剣そのものだった。それがわからないほど鈍いわけではない。  そして、自分が彼女の想いを受け止めたいと感じていることに、気づく。心の底では彼女にまた会いたがっていたことにも。 「友梨香」  名前を呼ぶと、彼女は一度まばたきをしてから「なに?」と尋ねる。 「……その、今さらかもしれないけど。何も言わないで帰って、ごめん」 「本当に今さらね」 「それで、……これも今さらだけど、順番、違っててもよかったら」  付き合おうか。  俺の申し出に、友梨香は大きな目をさらに大きく見開いた。まばたきをした目尻から、涙がぽろりとこぼれる。  それを拭ってやろうと手を伸ばす前に、彼女が俺に抱きついた。勢いがついていたため、一歩だけ後ずさってしまう。 「嬉しい──ありがとう」 「いや、こっちこそ」  抱きしめながら応じる。やっぱりあの夜より少し痩せたな、なんてことを考えながら。  額に唇を触れさせると、抱きついたまま友梨香が顔を上げる。目を閉じて待つ彼女の唇に、今度こそキスをした。
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