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思わず目を見開いてしまった。自分で誘っておきながら、これでは反応が逆だ。相手もきっとそう思っただろうけど、顔には出さなかった。
「近くでイルミネーションやってるの、知ってます?」
「え、ええ」
「今日明日で終わりでしょうし、見に行きましょうか」
と言って、すっと店の外へと出ていく。慌てて後を追った。
私が外へ出てきたのを確認して、男性は、先に立ってすいすいと歩いていく。意外と早足で、ヒールを履いている私にとっては、追うのに少し努力が要った。
五分も歩かないうちに大通りが見えてくる。裏通りの出口からちらちらと見えていた光は、大通りに出た途端にふわっと広がって私たちを包み込んだ。
この場所で毎年恒例の、クリスマスイルミネーション。
今年は青と白が基調にされていて、しんとした寒さの空間を優しく照らし、道行く人々の目と心を楽しませている。
私も、一ヶ月前まではその一人になるつもりでいた。けれど唐突に、全く反対の立場と心境に置かれてしまった。付き合っていた彼氏が、会社の後輩と浮気していた上に、相手を妊娠させてしまったのだ。
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