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娘にピアノを習わせたのも、私がピアノを続けてきたからであった。
ピアノは私にとって永遠の友。
小さい頃からピアノを始めた私にとって、みんなが遊ぶ放課後は、ピアノを弾く時間として溶けた。
楽譜に忠実な演奏ができていなかったり、音が転んでしまったりすれば、当然のように注意を受けた。反論することもできず、黙ってできるまで練習した。
いつでも味方なのは、ピアノだけだった。
心の中でピアノに語りかける。
気持ちを込めれば、ピアノはそれに応えてくれた。
逆にあらぶった気持ちでピアノの前に座れば、生まれた音楽もめちゃくちゃだった。喜怒哀楽をそのまま音楽上で汲み取ってくるピアノだけは信頼できたのだ。
家族には言えないようなパーソナルなことも話すようになった。
ピアノにふれたものとしか会話できない、こちらから話しかけないと応えない、という関係性が私の中ではとても心地よかったのかもしれない。秘密をばらされることもない、裏切ることもない、そばにいてほしいときにそばにいてくれる関係性を人間に求めることはできるのだろうか、と今でも思う。
習い事としてのピアノは次第に心の支えとなった。
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