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二人で身を縮めて固まっている。
もう、どれくらいこうしているのかわからない。
ジリジリと時間だけが過ぎれば過ぎる程、メイちゃんがどうしているのか不安だけが増していく。
駅員さんが拡声器で説明しだした。
私たちはハッと見つめ合い、駅員の方を見た。
『ご心配をおかけしました。電車は故障でした。もうすぐ着くそうです』
私たちは再び視線を合わせた。
ミチルちゃんが泣き笑いのような顔をして「良かった……」と溜息のような声で言った。
私も安心して胸をなでおろす。
それから少ししたら、メイちゃんが改札口から出て来た。
私達を見つけたメイちゃんが駆け寄ってくる。
「ふえええん。チルうぅ、カナエちゃあぁあん!」
おくれ毛を出して、くしゅっと高い位置で丸めたお団にしたメイちゃんは大きな目に涙をためながら飛びついてきた。
3人で顔を寄せて抱き合い、無事で良かったよぉ! と言い合う。
私からみると2人の頭は胸の位置にある。
2人はやや屈んだ姿勢で抱き着いてきているようだ。……何故?
「うん、急ブレーキでえ。本当に怖かった! 今も怖い! カナエちゃんの脚見ないと、もうダメ! ……かも」
「うんうん、……うん? なんて? なんで?」
私はヒシッとくっついているメイちゃんの顔をよく見ようと、のぞき込もうとした。
胸の下あたりに息がかかったようで、メイちゃんの動きを注意して見ていると、彼女は私のシャツワンピースのボタンを……外していた!
「ちょ! ちょっと! 何してるの?」
慌てて胸のあたりを手で押さえると、メイちゃんが真剣な顔で下から見てくる。
「ボタン……本物だ。ねえ? 脚だそうよ」
目が座っている。
「メ、メイちゃん!」
サッとしゃがみ込んだ、メイちゃんが裾からボタンを外していく。
少しづつ脚が露になってきて、体中が熱くなってきた。
「ま、まま、まって、まって!」
メイちゃんから距離をとる。
すでに膝くらいまでのボタンは外されていた。
「こ、ココまでで!」拝むようにしてメイちゃんを見つめる。
「わかったあ。仕方ないから今日はそれで。でも、後で、素敵な服買いに行こうね!」メイちゃんは立ち上がりながら言う。
私は断れず、苦笑いしながら頷く。
チラリと助けを求めてミチルちゃんを見ると、目を細めて私達の会話を嬉しそうに聞いていた。
「チルと一緒にすんごい! 刺激的な! 夏服、見繕ってあげるねっ」
「まかせなさい!」
ミチルちゃんもノッてくる。
メイちゃんもミチルちゃんも上機嫌で話している。
そんな2人を見ていたら、さっきまでの不安が一気になくなり嬉しくなってきた。
今なら何でも買ってしまいそうだ。
とりあえず休もうよ、とメイちゃんが手を握って誘ってきた。
ミチルちゃんも、もう一方の手を握ってにっこり笑ってくる。
私は、今日、一体どんな服を買うのだろうか……。
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