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「そういえば、メイちゃんのお題は……ん、可愛いね。花柄で、白いシフォンワンピース」
カフェに向かって歩きながら、私は改めてメイちゃんを見て言う。
「メイはわかりやすいね。ピンクのカーディガンだし」
「そうそう。中のワンピはノースリーブなんだよ。ちゃんと全クリア! カナエちゃんは……花とピンクはあ?」と探すように目をキラキラ輝かせた。
首を左右に傾げて私を見上げてくる。
……可愛い。
「これと、爪」
髪を耳にかき上げる。ついでに爪先もわかるように見せる。
「イイィ! その仕草も含めて満点以上! ネイルでピンクなのね、可愛い! でもピアス開けてた?」
「ミチルちゃんと同じ質問だね」
クスリと笑いながらミチルちゃんに目配せする。
すると、ミチルちゃんは得意そうに不敵な笑顔をする。
メイちゃんにすんなりした指を向けて早口でしゃべり出す。
「私も聞いたけど、ノンホールピアスなんだって! 地下街で買ったって聞いたわ。メイが来ないから2人で色んな話しちゃった。ね! カナエちゃん」
ミチルちゃん、テンションが上がってるな。
私の腕に絡みついてきて良いでしょう? とメイちゃんにドヤ顔できめた。
ミチルちゃん……メイちゃんが無事だったから、調子が戻ってきたみたい。
元気が過ぎて、ちょっと攻撃的?
でも、良かった。いつも通りの私たちの日常にもどれて。
「チル! えええ。ひどおい。カナエちゃん、その分私とも沢山話そう! チルだけズルイもん」
私を挟んで二人は可愛い言い合いをしている。ほほえましい。
私は笑いながら二人のやり取りを聞く。
「あ! そういえば、何度も連絡したのにメイちゃん、ちっとも出ないんだもん」
「そうよ! 出ないから余計、心配したんだからね」
私が思い出したことで、ミチルちゃんも心配が怒りになって声ににじみ出ていた。
「ああ、ねえ。本当にごめえん。家に携帯、忘れちゃって」
ばつが悪そうに俯く。
「嘘でしょ! あんたって子は!」
「ごめんって、出掛ける時慌てててえ」
頭を軽く下げて明るく謝った。
私とミチルちゃんは軽く溜息をつきながら、呆れながらも納得して笑った。
「まあ、メイの事だもんね」
「ね、メイちゃんだもんね」
メイちゃんは大きい口を開けて、うえええん。とはっきりと言葉で発した。
え? 擬音語、言葉で言うの? 私は噴き出した。
ミチルちゃんが顔を赤くして「ちょっと、嘘でしょ? 公共の場で『うええん』なんて言わないでよ。恥ずかしい」とメイちゃんをたしなめた。
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