明日は、なに履く?

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「メイッ! あんた! この馬鹿ッ! ばかああ! バカメイ!」  怒っているというより、激昂に近く罵倒の言葉しか聞こえない。 「な、な、ななな生足なんて、犯罪しか生まないー! ばかばかばかばか! 生足のカナエちゃんを電車にのせるなんて! いいの? ねえそれ、いいの? 大丈夫なの? なんなの? わかってるの? え?」  すごい剣幕で隣のメイちゃんも立たせて、肩を両手で掴みガクガクと震わせながら早口でまくしたてている。  私は唖然とし過ぎて、何も言えずに口をぽかんと開けて見ていた。 「ご、ごめえん。ごめんって、チルぅう」  なすがままに頭を揺さぶられすぎてメイちゃんの目の焦点が合っていない。 「ダ、ダメだね、生足はダメだよねえ! わわわかるわかるる! 言っただけ! ほんと、ごめえん。間違えたあ。もう許してえ」と、ガバッとメイちゃんはミチルちゃんの胸に泣きついた。  必死に謝っている。  私も、何か言おうと……口を開きかけた。  鼻息を荒くしていたミチルちゃんが「私もごめん、興奮しすぎた」と謝って仲直りしている。  ……私の事を好きだと言ってくれるけれど。  2人の方がよっぽど好きあっているように見える……。  私は鼻から長い息を吐き「生足は、私もちょっと嫌かな」笑いながら話す。  2人もだよね、と同意してくれた。
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