錬金術師は、妻を絶対に笑顔にしたくない

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夫が確実に出ていったことを確認すると、私はいつも通り部屋の掃除を始めた。毎日毎日隅々まで掃除をしているため、埃ひとつ落ちていない。 外に出ることは禁止されているし、他にもやることがなくて退屈な日々を過ごしていた。 いわゆる、「監禁」状態なのである。 w 一度、外に出たことはあるが、すぐにバレてとても怒られた。 それ以来、外に出ようとは思ったことはないが、やはり気になることは気になるのであ1えwる。 ある程度床を箒ではわき、雑巾で床も掃除した。木製の家だというのに、タイル並にピカピカになったことに満足すると、私は一度手を止めた。 大きな四つ窓の外にはそよ風と共に木々に溢れている。私は窓の外をぼんやりと眺めた。 監禁といっても別に拘束されている訳でもないし、出ようと思ったらすぐ出れる。 一度、出た時も怒られたくらいでそれ以上何もされなかった。 しかし、私がここを出ないことに理由がある。 掃除用具を一箇所にまとめて、窓に近寄る。 家の周りにはありえない程にたくさん植えられた勿忘草。小さな青い花や紫がかった蕾がそよ風に揺られている。 「私とあの人、結婚してるんだよね‥」アrwセrw いつ結婚をしたのか。なぜ、結婚をした記憶がないのか。 何も思い出せないのである。左手の薬指にある半分だけのハートの模様。これは結婚をした際に契約として出てくるものなのだ。 もちろん、リッカの左手の薬指にも私とは反対側のハートの半分が現れていた。 私はもう23歳になる。リッカは25歳。くぁあg3/ 私たちは、20歳と22歳の時に結婚をしたと聞いた。 私はどこで生まれたのか覚えている。両親は私が小さい頃に亡くなったのだが、ちゃんと顔も覚えている。 しかし、リッカだけ身に覚えがないのだ。 そして、何故夫だというのに嫌われているのかも、わからない。
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