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明るい光が瞼を撫でる。目は瞑っているのに起きろと目を揺する眩しさにゆっくりと目を開く。 目を開けると、天井が最初に目に入った。 何かの花の香りが鼻を擽り、なんだか心地が良い。 昨日のことがあまり思い出せない…。 私は天井を見つめながら昨日起きたことをゆっくりと辿った。 昨日は確か、朝起きてずっと掃除してたはずだ。 そこからちょうどリスが窓から見えて‥そこから記憶がない。思い出そうとしても、何やら霧のようなものが脳を取り囲んでいるようだった。 私は上半身だけ身体を起き上がらせて、四つ窓から外の景色を見る。 木々がそよ風に揺られ、別れた葉が風の波に飛ばされた。 何故か家を囲い込むのは大量の勿忘草。 青と紫混じりのその小さな花も、風に揺られて優しく微笑んでいるようだった。 「‥起きたか」 ガチャリと扉が開く音が聞こえて、私はびくりと振り返る。 そこには、黒いコートを羽織った黒く艶めく短い髪をした長身の男が立っていた。見たことがないほどに恐ろしい美貌で思わず怯む。 男は何も言わず、私の顔を覗き込んだ。 「誰、ですか‥」 反射的に声が出る。それもそうだ。 知らない男の人が家にいるのだから。 男はじわじわと目を見開くと、また仏頂面に一瞬で戻った。 「俺はリッカだ。お前は、俺と結婚をしている。ここはお前と俺の家、忘れたか?」 淡々と述べられる衝撃的な事実に思わず後ずさる。 「‥結婚?」 生まれて23年、男性と恋愛関係になっても結婚などしたことがないはずだ。 私が倒れている間に何があったの?
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