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「接続、よし!」
「よし!」
「電圧調整、よし!」
「よし!」
「放電、始め!」
発電機から実験装置へと電流がながれこんでいく。
「電圧、上げます!」
実験チームは装置の様子を見ながら、徐々に電圧を上げていく。
装置の周りで、バチバチと火花が舞い散る。
爆発事故が起きた電圧に達する寸前、マルクスがカッと目を見開いた。
「放電やめ!」
押し留める同僚の腕を振り払い、ニーナは実験装置に駆け寄っていく。
「マルクス!」
表情はまだぼんやりとしていたが、彼はゆっくりと口を動かす。
“ニ・ー・ナ”
唇の動きを読みとったニーナの両の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
「おはよう。……また、会えたわね」
彼女は微笑み、涙声で言葉を絞りだす。
「実験……成功しました!!」
ふたりを見守っていた実験チームのメンバー全員が、一斉に歓声を上げた。
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