気味の悪い村

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「待て待て!かやの。悪い方ばっかりに考えるな。 俺も家族がお祓いに行こうかと行ってくれてるし」 「…うん、ポジティブに考えよう。とにかく、鏡は少しは有効だと思うの、(のろ)いを跳ね返すように私がお(まじな)いをかけてあるから。 お祓いに行くまで頑張って!」 「俺は大丈夫。かやのも必ず助けてやるから、足腰鍛えておけよ。あと、わかるなら、鍵の番号を探って欲しい。2と5と7と9が関係してると思う」 かやのは強く頷く。 長いまつ毛に縁取られた大きな黒い瞳が細められる。 「出会ったのが、結弦で良かった。私も村の神にさせる前に逃げられるかも知れないってちょっと思えるようになった。とにかく、私があの村の神に近づくのは、結弦の命も関係あるんだから、慎重にね」 「うん、分かってる。俺も知り合えたのが、かやので良かったと思う。」 窓から見える月の光がかやのを余計に綺麗に見せる気がした。 心の中でムズムズと恥ずかしい気持ちと、あと嬉しい気持ちが重なっていく。 この変な気持ちを知ってる。 俺はかやのに恋をしている。 彼女が俺をどう思っているかはわからないけれど、俺と出会ったのが良かったと言ってくれているから、悪い風には思っていない、ハズ。
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