夢見の鏡

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車に轢かれた。 1週間前だけど。 *** 「弓弦!」 何度も俺の名前を、遠くで聞いていた気がしていたが、だんだん声がはっきりと聞こえ始めて、目を開けた。 うっすらと見える影は母さん。 「今、救急車がくるからね!」 あぁ、そうだ。 母さんと買い物帰り、車が俺に突っ込んできたんだ。 大丈夫と言いたいけど、今は目が勝手に閉じて行く。 母さん、ゴメン。今は返事できねーわ。 俺はそう思いながら体の力を抜いた。 そして、再び目を開けた時は病院で。 あちこち痛くて全く動くことが出来なかった。 *** そうして、ようやく今、個室に移動。 身体中、ぐるぐる包帯だらけ。 まだ、動くと痛いが、割と元気。 車に轢かれたのは爺ちゃん婆ちゃんが住む田舎。 田舎と言っても、何でも揃っているし、車もブンブン通っている。まるで普通の都会のようだ。 ただ、車で真っ直ぐ数分走れば、山があって、そこにはポツリポツリと家が建ち、まさしく、田舎の風景がそこにある。 爺ちゃんが言うには、「あの村は独自の信仰があってな、みんな変わっている。近づくんじゃないよ」 と、いつも言っていた。 「独自の信仰」って言うのは、爺ちゃんも婆ちゃんもよく知らないらしいが、爺ちゃんが子供の頃、好奇心で近づいて怖い目にあったらしい…。 子供の頃の俺に教えても気味悪い話だからと詳しい話は教えて貰えなかったが、爺ちゃんの真剣な顔に俺もそれ以上は聞けずにいた。 が、退院後、その話聞くことになる。 言い遅れたが俺は山崎弓弦。21歳の大学生だ。 久々爺ちゃんの家に行ったら車に轢かれるという、面倒くさい羽目になったところから、恐怖が、始まるようになる。
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