中途半端な人間(Part1)

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中途半端な人間(Part1)

1年前ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 僕の家庭環境は側から見るととても良いものだった思う。 だが僕からすると良いものでは無かった。 恵まれすぎた環境。 なんでもさせてくれた両親。 物分かりの良い2歳下の弟。 これらは「僕」と言う中途半端な人間には重荷すぎた。 しかし環境が嫌なわけでも無い。 両親にはとても愛されたし。 弟も完璧すぎると言うわけでも無い。 僕はこの環境がいつか無くなると思うと怖かった。否、恐ろしかった。 その現実から逃げるべく高校は寮のあるところに入学した。 そこでは目立たず数人の友人を作り静かに過ごしていた。 そこに弟が入学してくるまでは。。。 4月12日ーーーーーーーーーーーーーーーーー 僕が通っている高校はそこそこ頭が良く弟の偏差値では入学は難しいと思う。 わざとそういうところを選んだのだから当然だ。 なのに弟は見ない間にイケメンになっているし、勉強もそこそこできるようになっているようだった。 弟は入学してきてからというもの授業が終わるとすぐに僕のクラスに飛んできた。 「おにい‼︎一緒に寮帰ろ‼︎」 毎日それを言ってはクラスの前で待っている。 僕が先に数少ない友人と約束をしていて 「ごめん。今日は友達と帰るから。」 と言っても僕の友人に 「すみません‼︎お兄ちゃん借りて良いですか?」 と自分がイケメンだと知っているような聞き方をするものだから友人も 「勿論。どうぞ〜。」 と言うように僕を笑顔ですぐに見捨てる。 「助けてよ…。」 と小声で友人に助けを求めても 「あの顔には勝てんわなぁ。」 と小声で返される始末だ。 本当になんで弟は別の高校に入学してはくれなかったのだろうか。 僕が通っている高校を知らなかったということは無いだろう。 現に教えても無いのに僕の教室に入学直後から突撃しにきている。 (まぁ。卒業するまで後一年の辛抱だ。) なんて考えながら今日も僕は弟と2人で寮に帰る。
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