歌手は歌声が全てですか?episode2 緋色の一耳惚れ

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前回のあらすじ 主人公、駒賀なこ(こまがなこ)はある事をきっかけに歌手を目指す。 母親に勧められ、“high jump事務所”が主催する歌手オーディションに 応募するが… エピソード2 緋色の一耳惚れ 「んー。不合格かなぁ。」 思わず口にしてしまった。でも誰も気がつかない。きっと緊張しているのだろう。 その時、後ろから既にオーディションが終わった女の子が声をかけてきた。 「ねぇ!外にも聞こえたよ!君の歌声!惚れちゃったよ。もし良かったら連絡先交換しない?」 急すぎる!てか、“外にも聞こえた”って何!?超恥ずかしいー!! 「えぇ!?まずはお名前だけでも聞かせてもらってから…。」 あぁごめんごめんと手を合わせて謝っている。ニコニコしながらだけど。 「私は、湯森緋色(ゆもりひいろ)!突然ごめんね!」 「あぁっ、駒賀なこです。びっくりしましたけど安心しました。連絡先、交換しましょう!」 ありがとうと元気に言う緋色さんの姿はなんだか『幼いけど大人』という感じがした。 三週間後… 運命の、合否。 今日ポストを覗くとそこには“high jump!事務所”と書かれた封筒が投函されていた。 リビングで恐る恐る封筒を開け、書類を見ると、そこには、 『駒賀なこさん、残念ながら不合格となりました。不合格の原因は下記に御座います。』の文字があった。 やっぱり、不合格だ。原因に目をやると、 『まず情熱があまり感じられません。歌に対する思いが欠けているように見られました。次に歌っている時の表情が硬いので“自転車を漕ぎながら”の良さが伝わりません。』と書いてあった。 「うぅ。やっぱりだ。応募するだけ無駄だったんだ…。」 悲しみに打ちのめされている時、スマートフォンから通知が聞こえてきた。 見ると、緋色からのメッセージだった。 『合否、どうでしたか?ちなみに私は見事、不合格でした〜!』 なんでそんなに明るく不合格を伝えられるの? 私が『私も、不合格だった。』と送ろうとした時、緋色からメッセージが 届いた。
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