5人が本棚に入れています
本棚に追加
前回のあらすじ
主人公、駒賀なこ(こまがなこ)はある事をきっかけに歌手を目指す。
母親に勧められ、“high jump事務所”が主催する歌手オーディションに
応募するが…
エピソード2 緋色の一耳惚れ
「んー。不合格かなぁ。」
思わず口にしてしまった。でも誰も気がつかない。きっと緊張しているのだろう。
その時、後ろから既にオーディションが終わった女の子が声をかけてきた。
「ねぇ!外にも聞こえたよ!君の歌声!惚れちゃったよ。もし良かったら連絡先交換しない?」
急すぎる!てか、“外にも聞こえた”って何!?超恥ずかしいー!!
「えぇ!?まずはお名前だけでも聞かせてもらってから…。」
あぁごめんごめんと手を合わせて謝っている。ニコニコしながらだけど。
「私は、湯森緋色(ゆもりひいろ)!突然ごめんね!」
「あぁっ、駒賀なこです。びっくりしましたけど安心しました。連絡先、交換しましょう!」
ありがとうと元気に言う緋色さんの姿はなんだか『幼いけど大人』という感じがした。
三週間後…
運命の、合否。
今日ポストを覗くとそこには“high jump!事務所”と書かれた封筒が投函されていた。
リビングで恐る恐る封筒を開け、書類を見ると、そこには、
『駒賀なこさん、残念ながら不合格となりました。不合格の原因は下記に御座います。』の文字があった。
やっぱり、不合格だ。原因に目をやると、
『まず情熱があまり感じられません。歌に対する思いが欠けているように見られました。次に歌っている時の表情が硬いので“自転車を漕ぎながら”の良さが伝わりません。』と書いてあった。
「うぅ。やっぱりだ。応募するだけ無駄だったんだ…。」
悲しみに打ちのめされている時、スマートフォンから通知が聞こえてきた。
見ると、緋色からのメッセージだった。
『合否、どうでしたか?ちなみに私は見事、不合格でした〜!』
なんでそんなに明るく不合格を伝えられるの?
私が『私も、不合格だった。』と送ろうとした時、緋色からメッセージが
届いた。
最初のコメントを投稿しよう!