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Xの存在
マダム・ルルの応接間は、豪華な部屋だった。
家具は猫足で、優雅な曲線を描く高級品。
ゆりの花が強く香り、重厚なカーテン、調度品は貴族が使っているものと比べても遜色がない。
これらは、この住人が商売について、相当にやり手であることを物語っていた。
「そうですの。
チェイサー様のお住まいをお探しなのですね。
短期間なら、私の別荘をお使いになっていただいてよくってよ?」
マダム・ルルは羽の大きくついた扇で、ふぁさっと自分の顔を仰いだ。
「犬と鳥がいるので、狩猟小屋とか、そんなのでいいのだが」
チェイサーは困惑ぎみに、ブランドンとマダム・ルルの顔を交互に見た。
「いいえ、ブラントン様のお友達に粗末な小屋は、お泊めできません。
下働きの女の子も通いでいれましょう。
掃除や洗濯をさせますから」
「ああ、それは助かる。あそこの別荘なら、近いしな。それでいい」
チェイサーが答える前に、ブラントンが決めてしまった。
ブラントンは、ここではよほどの太い客なのだろう。
「それでは、チェイサー様?お願いがあるの」
マダム・ルルはしなをつくって、流し目で見た。
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