Xの存在

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娘は緊張しているせいか、こわばった表情でなんとか笑顔をつくった。 目鼻立ちの整った美しい娘だが、体つきは幼く華奢な印象だ。 確かに、こういうタイプを好むオトコもいる。 チェイサーは娘を一瞥すると、口を開いた。 「俺は熟女タイプがいいんだ。アンタみたいなのがな」 「あらぁ、お世辞がお上手だわぁ。でも、アタシはオトコなの。 それでもいいのかしら」 チェイサーは開いた口がふさがらない。 そばで、ブラントンが口を押えて笑っている。 「わかりました。 ベテランでお好みそうな女の子は別にいますから。どうぞ、こちらへ」 マダム・ルルは、営業用笑顔で卒なく案内をした。 「行ってこい。すっきりして、明日は仕事だぞ。 9時に王宮だ」 ブラントンが、チェイサーの背後から声をかけた。 扉のそばで、マダム・ルルの連れて来た娘は、スカートの裾をつまんで 深々と頭を下げた。 ああ、あの夢の娘も・・こんな感じだったのかな チェイサーは娘とすれ違った時に、なぜかそんな思いがかすめた。
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