第二章(ツガイとイチャイチャ)

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「───痛々しい。パピー、嫌がってた?」 「……最初だけ。でも、噛むのは喜んでたし、俺も獣の方に引っ張られて、加減ができなかったんだよ。でも、可愛かった!」 「この程度で済むならいい方だ。魔物の場合は、死ぬ事もある。それに気づかずに、行為を止められない奴もいる。正気に戻った時には、ツガイが死んでるんだ」 「こわっ。良かった、ノアが無事で」  ラシル……それに、マミーとギメルとアス兄さんの声。 「キュン(ラシル)」 「ノア! あぁ、起きた。良かった」  僕がラシルを呼ぶと、ラシルは元の姿に戻っていて、僕のところへ来て、タオルごと僕を抱えてくれる。  ラシル、僕のツガイ! 好き好き! 「ノアが可愛い! 見て、この甘噛み。ずっとこうやって求愛してくれててさ、可愛いでしょ」  僕がラシルの指を噛んでいると、ギメルも手を出してくれたため、いい匂いのするギメルの手も噛む。  ギメルも好き! ずっと会えなかったの、寂しかった。どこ行ってたの? 「ノア、嬉しそうだね。ギメルに会えたからかな?」  アス兄さん! 僕、誕生日きたよ! あとね、ラシルとツガイになったの!  僕は尻尾を振って、アス兄さんの元へ行こうとするが、体が動かずにプルプルしてしまい、アス兄さんを呼ぶ。 「キュン(アス兄さん)」 「ノア、あんまり無理しちゃダメだよ。それから、誕生日とツガイおめでとう。そのタオルは俺からのプレゼントだよ」 「キュァア!(ありがとう!)」  プレゼントのタオルを噛んで尻尾を振っていると、次はマミーが僕のところへ来て、頭を撫でてくれる。 「パピー、おめでとう。ボクからのプレゼントは、パピーの好きなクッキーだよ」  そう言ってマミーが大きな箱を開けると、そこにはクッキーがたくさん入っており、嬉しくなって走り回ろうとするが、やはり動くのは尻尾と耳だけだったため、大きな声でお礼を言った。 「ノア、良かったね。でも、少し落ち着こうか。体の負担が凄かったでしょ」  じゃあ、獣人になる! 獣人になったら動ける?  僕はラシルの腕の中で獣人になるが、それでも動く事ができず、首も痛くてすぐに元に戻った。 「やばい。今のノア、凄い色気じゃなかった? ギメルなら分かるよね?」 「あぁ……一瞬で襲いそうになった」 「ボクでも色気は凄いと思ったけど、やっぱりパピーは可愛い」 「俺から見れば、可愛いしかない! いやほんと、すっごい可愛かった」  僕は四人の話に混ざる元気はなく、またしても眠くなってしまい、そのまま眠りについた。それから僕が漸く普通に動けるようになり、急な眠気にも襲われなくなったのは、何日か経ってからだった。
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