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僕が動けるようになり、僕は母さん達の所へ行くつもりでいたが、屋敷に行ったノク兄さんとロイドが帰ってこないため、行く事ができないでいた。
「ラシル、ノク兄さんとロイドまだ?」
「まだみたいだね。あの赤子……ノアの弟が、なかなか確認できなくてね」
僕の弟? ノク兄さんとロイドが何してるのかも分からない。でも、ラシルが不安なら行かない。
「ラシル、ギメルは? 次はアス兄さんもいない」
「ギメルはアストを連れて、別の国に行ってるよ。ノクトの時とはまた別の国」
そうなんだ。僕も別の場所行ってみたい!
「ラシル、ラシル!」
「なあに? 可愛いね、ノア! 日に日に美人になっていく気がするよ! 毛並みも綺麗で、いい匂いもする」
ラシルはツガイになってから、今まで以上に僕を褒めてくれるため、僕も嬉しくなるのだ。
「キュア! あのね、僕も違う場所行きたい! みんな帰ってこないの寂しい。ラシルも遊べない時ある」
「ごめんね、ノア。みんなノアの為に頑張ってるけど……ノアが寂しいなら仕方ないね。屋敷以外ならどこに行きたい?」
いいの!? じゃあね、僕が一番会いたいのは───
「ギメルとアス兄さんのところ!」
「いいよ、明日行こうか。今日は俺とゆっくりしよう。一緒に寝たり、遊んだり」
「今日は何もしない? 僕だけ?」
「うん、俺はいつもノアだけだよ。おいで、何して遊ぶ?」
やったあ! 僕、あれで遊びたいの!
そうして、僕は元の姿に戻って巣の奥からボールを出し、ラシルに渡した。
「ボール投げ?」
「キュン! キュンキュン(うん! パパが遊んでくれてた)」
すると、ラシルはボールを投げてくれ、それを僕が取りに行き、ラシルの前で中身を開けるが、中にはクッキーが入っていなかったのだ。
「キュ?(なんで?)」
首を傾げて中をカリカリも引っ掻くが、やはり中にはクッキーはなく、匂いだけがするため、その場に伏せて鼻を突っ込んだ。
「あぁ……ちょっと待ってて。ノア、俺が投げるまでこっちを見たら駄目だよ」
「キュン!(分かった!)」
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