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ウェンに会ってしばらくすると、屋敷に行ってもいいとラシルに言われ、ルカが世界樹に遊びに来てくれた。
「行っていいの?」
「うん、いいよ。ノアに対してなら大丈夫だったからね」
僕、お土産渡せる? 母さんに会える?
「ただ、ノアの弟は普通に大人だし、魔法で攻撃してくるんだよ。アレはフォキシナの血をひいただけの、悪魔だったからね」
「悪魔! 凄ぉい!」
「はぁ……可愛い。ノアの元ツガイ候補が、ここまで執着するとは思わなかったよ。まさか、他の奴も転生してるんじゃないよな。ルカ、何か見える?」
ルカは、僕を膝の上に乗せて、スリスリしている。そんなルカに、ラシルが話を振ると、ルカはスリスリをやめて、何かを見る。
「もうツガイ候補ではないので、繋がりが切れているヤヌアール神と、もう一つしか見えません」
「アレフは、修復しようと思えばできるって事かぁ。まあ、ノアの母親に拘ってるし、修復はしないと思うけど」
ルカは話が終わったのか、もう一度スリスリをしようとしてくるが、そんなルカから僕を奪うように、ギメルが僕を抱き上げる。
「キュア! ギメル、高い高い!」
「俺もヤヌアール神も、ノアのそばにいれるからいいが、殺された奴らは全員、ラシルについたノアの匂いに反応してただろ。執着しててもおかしくない」
ギメルは高い高いをしてくれ、ギュッと抱きしめてくる。するとラシルと同じ匂いに包まれ、耳を軽く噛まれたため、僕もギメルの首に噛みついた。
「え、ギメルいいなぁ。獣人のノアに甘噛みされるって、結構珍しいよ」
「俺はいつも遊んでるからな。これは遊びみたいなもんだろ。逆にラシルの時は、完全に甘えてる。そっちの方が羨ましい」
「それは、俺がツガイだからね! 当然! 甘えてくれないと困る」
「はいはい、そうだな。喜んでないで早く行くぞ」
そうして僕達は、ルカに留守番を任せて屋敷に向かうと、アス兄さんが街の門の所で待っていた。
あれ? 屋敷じゃない。なんで街……みんな元気ない?
「ノア、待ってたよ。今、ノクトとロイドが準備してるから、ノアは先に街を歩きながら、ゆっくり行こうね」
「準備? アス兄さん、みんな元気ないの。なんで?」
下に何かあるのかな? 探し物?
「あぁ、ノアもノクトも俺も、屋敷を出たからね。街の人達は、フォキシナの分断で不安みたいだけど、ノアを見たら元気になると思うよ」
「ぶんだん? 僕ここにいる! みんなに挨拶してくる!」
僕は元の姿に戻り、街を走り回ると、みんなが僕を見つけて元気になってくれ、触ろうとはしてこないが、泣いている人もいた。
「キュウ(大丈夫?)」
「っぐ……良かった。本当に戻られたのですね」
喜んでくれてる? 大丈夫そうで良かった!
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